引越した人へ贈る「引越し祝い」は、転居の理由によって、呼び方に違いがあります。
- 家を新築して引越した人へのお祝いは「新築祝い」
- 転居によって新しい住居へ引越しした人へのお祝いは「新居祝い」
- 近隣に住む人が転居する際に渡すのが「餞別」
と区分けできます。
今ではすべてまとめて「引越し祝い」と呼ぶようになってきましたが、「新築祝い」と「新居祝い」、「餞別」では贈る金額の相場が異なるので、それぞれチェックしていきましょう。
引越し祝いを贈る相手によって異なる相場
引越し祝いは、家族・友人・同僚・親戚・上司・部下など、関係性によって相場が異なります。
また、「新築祝い」か「新居祝い」か「餞別」かによっても相場に違いがあります。
「新築祝い」の相場
新築祝いの相場金額は関係性が深いほど、相場観は高くなります。
贈る相手との関係 | 金額相場 |
---|---|
兄弟・姉妹 | 10,000 ~ 100,000円 |
親戚・従妹など | 30,000 ~ 50,000円 |
友人・同僚 | 5,000 ~ 10,000円 |
会社の上司・先輩・部下 | 5,000 ~ 10,000円 |
特に親しい友人などには相場よりも多く贈っても良いですが、逆に親しい友人ほど相場通りの金額に抑え、プレゼントなどを添えることもあります。
「新居祝い」「餞別」の相場金額
「新居祝い」の場合は、間柄に関係なく3,000円~10,000円が相場です。
日本全国の地域によっても多少の差はありますが、基本の金額は3,000円~10,000円程度なので、無理のない程度で贈ればOK。
贈った相手に気を使わせないことも配慮の一つです。
引越し祝いを渡す時期・タイミングはいつ?
引越し祝いを渡すタイミング・時期は、「新居」に招かれた場合、家にお邪魔するときに贈るのが一般的です。
家に招かれていない場合は、引越し終了後2週間~1か月以内に、会ったときに渡すのが一般的。
毎日顔を合わせる職場の同僚・部下の場合は引越し後、数日以内に贈ってあげる方が贈る側も忘れずに引越し祝いができるのでおすすめ。友人であれば、次回会った際に渡せば問題ありません。
「餞別」の場合は、「近所の人が遠方へ旅立っていく」という形なので、転居前に渡すのが一般的です。
いずれの場合でも、ご祝儀袋に入れて渡す、プレゼントの場合は熨斗(のし)を付けて渡すのがマナーです。
引越し祝いの熨斗(のし)の種類・表書き
引越し祝いを現金で渡す場合は、必ず「ご祝儀袋」に入れて渡します。
ご祝儀袋は、封筒の形状の袋です。
引越し祝いに使うご祝儀袋は、「蝶結びの水引」という種類で、「何度あっても良いお祝いごと」に使われます。
ご祝儀袋は似た種類の袋がたくさんあり、よく注意して確認しない間違って買ってしまう場合もあります。
蝶結びで、「輪」の部分が上にあるものはご祝儀系の袋です。
間違っても「輪」の部分が下にある袋をご祝儀袋に使ってはいけません。それは仏事に使われるものです。
また、お祝いをお金で渡さない場合でも、同じく蝶結びの水引の「のし紙」を使用して「お祝いの品」を包みます。
「のし紙」の表書き
表書きにも種類があります。家を新築して引越した場合の「新居祝いの表書き」は、
- 「御新築御祝」(ごしんちくおいわい)
- 「御祝」(おいわい)
- 「御引越御祝」
- 「御祝」
引越し先の新居を問わず、贈る相手が昇進・栄転などで引越しした場合は、
- 「御栄転御祝」
- 「御祝」
また、個人ではなく取引先の会社などが移転される場合は、
- 「御移転御祝」
- 「御祝」
結婚による転居の場合は、
- 「寿」
どれを書くべきか自信がない場合は、大体どの場合でも問題ないとされている
- 「御祝」
ただし、左遷などのような赴任による転居の場合もあるので配慮は必要です。
引越し祝いの「のし」に自分の名前は記入する?
一般的には名前も記入しますが、最近では親しい友人や家族の場合は記載しないことも多いようです。記入箇所は、中央下の部分に縦書きで指名を記入します。
古来からの一般的な記入方法では、中央に夫のフルネーム、左横に妻の名前を記入する形となります。
引越し祝いはプレゼントでもOK。どんなものがいい?
引越し祝いはお金ではなく「物」でも問題ありません。贈られる側は現金の方がうれしいと感じる人が多いと思いますが、相手の好みをよく理解している友人や家族なら、プレゼントを贈ることで喜ばれる場合も多くあります。
ただし自分の趣味を押し付けるのは禁物。新生活に役立つものや便利な物、必ず使うような消耗品なら喜ばれる可能性が高まります。また、贈る相手が「こだわりが強い人」の場合は、あまり喜ばれない可能性もあるので避けましょう。下記に引越し祝いのプレゼントとしてスタンダードなものをリストアップしたので参考にしてみてください。
引越し祝いで喜ばれる定番のプレゼント
カタログギフト
有名通販メーカーのカタログギフトは、家具・家電・生活雑貨など多くの商品を取り扱っており、新生活で必要になったものを自由に注文できるのが魅力。贈る側は金額を指定して贈れるので、相場の金額だけを設定すればOK。受け取る側はカタログ内から金額内で買い物ができ、選ぶ楽しみがあることが喜ばれる理由かもしれません。
金券・商品券(ギフトカード・ビール券)
やはり金券は人気があり、贈る側もプレゼントを選ぶ手間を省けることもあり定番化しています。
「お金を贈るのと何が違うの?」とも思えますが、受け取る側・贈る側にとってお金よりも仰々しくないことがメリットかもしれません。
オススメなのは、JCBギフト券など全国のデパート・スーパーでも使える金券です。ビール券などはコンビニやスーパーでも使えるので喜ばれる傾向があります。ただし、 「百貨店ギフトカード」などは利用できるお店が限定されるので、使いにくいと感じられる人も多いようです。
スイーツ
引越し作業が落ち着き、新居に招かれたときになどに持参するパターンと、通販ショップを利用して贈るのが一般的。
会社など、出先で直接渡すのは荷物が増やしてしまうので避けましょう。
また、「日持ちしないスイーツ」は迷惑になる場合もあるので注意が必要です。
贈るスイーツの定番は、
- 高級な果物(シャインマスカット・マンゴーなど)
- 有名菓子店のお菓子(チョコレート・洋菓子・どら焼きなど和菓子)
お酒(ワイン・ウイスキー・ブランデー・日本酒)
ビールなどでも良いですが、銘柄の好みの関係や、持ち運びにくさも考慮すると引越し祝いには不向きかもしれません。
タオル(ホテル仕様の高級タオルなど)
プレゼントなのでワンランク上の品質のタオルを贈ることが多く、高級ホテルで採用されているタオルなどが喜ばれます。
夫婦世帯への新築祝いなら、2人分のバスタオル・ハンドタオル・フェイスタオルのセットがおすすめ。
今治で生産されている今治タオルの中でも「オーガニックコットン」のタオルは、肌に優しいタオルとして知名度も高く、喜ばれることも多いのでおすすめ。生活実用品・消耗品
来客用にも使えるコーヒーやお茶、キッチンやテーブルで使えるグラスクロス・布巾などは消耗品なので喜ばれます。コーヒーやお茶は好みの銘柄が分からないと贈りにくいこともありますが、著名な商品であれば相手の「経験」や「見識の拡大」に貢献できる可能性もあるのでおすすめです。
定番ではないけれど実用的で喜ばれるもの
新築の家の場合、万が一の時に必要な「消火器」を備えておきたい人も多いと思います。一軒家などでは消防法の設置義務はありませんが、無いよりはあった方が安心。
消火器は購入すると、1~3万円程度と意外と高額。優先順位を下げてしまうものだからこそ、貰うと助かるものでもあります。ただし「火」にまつわるものなので、贈る相手は友人や同僚ではなく、家族だけにとどめておくのが無難です。
引越し祝いとして避けた方が良いプレゼント
インテリアや家電
一人暮らしを始める学生さんの引越し祝い「家電」を贈ると喜ばれることも多いですが、家族・夫婦世帯に贈るのは避けた方が良いかもしれません。大型のインテリアや家電はすでに持っていることがほとんどですし、小型家電でも新居の雰囲気に合わない場合もあります。
カーテンなども人によって好みが大きく異なるので避けるべきかもしれません。「新居はこんな部屋にしたい!」と理想をもって引越ししているはずなので、世界観を壊しかねない家電やインテリアのプレゼントは、リクエストがない限り避けるのが無難です。
石けんやボディケアアイテム
石鹸やシャンプーなどは贈る相手の肌や体質に合わないこともあります。とても良質で高額な商品だとしても体質が合わないと使えません。どうしても使ってほしい良質なアイテムを新居祝いにするなら、「もし肌に合うなら使ってほしい」と一言添えてプレゼントすれば、受け取る側の心理的負担も軽減するかもしれません。
観葉植物
水をやったり、管理が大変です。相手が欲しいと言っていた場合を除いて、大小に関わらず避けた方が良いでしょう。キッチン用品・食器
結婚式の引き出物などでお皿やコップを貰ったことがある人は「全然自分好みじゃない…」と感じたこともあると思います。
特に新婚世帯やカップル世帯は「新居での食卓はこんな雰囲気にしたい!」というイメージを持っている方も多いので、イメージと合わない食器やカップは食器棚のお荷物になりかねません。ロイヤルコペンハーゲン・ウェッジウッド・マイセン・バカラなどの高級食器であれば、持っておいて損はないと感じる人が多い食器なので喜ばれやすいです。
一方、一般的な価格帯の食器やグラスを贈るのは、相手の好みを知っている場合以外は避けた方がよいかもしれません。
火を連想するもの
火にまつわるもの・連想させる物は、不吉と言われているため避けましょう。お香・灰皿・キャンドル・ライターなどが該当します。壁に傷をつける可能性があるもの
絵・掛け時計などは壁に穴を開けることになるので避けましょう。新居祝いの場合は特に注意が必要です。敷物・スリッパなどの履物
床に敷くマットやカーペット、スリッパなどの履物は「貴方を踏み台にする」という意味合いがあるという風習もあります。仕事関係や上下関係がある相手への贈り物にすると無礼に感じる人もいるので避けましょう。引越し祝いを「品物」で贈る場合のプレゼント料金相場
物で引越し祝いを贈る場合でも贈る相手によって相場が変わります。「物」で贈る場合は「お金」で贈るときよりも金額はやや低めな相場。例えば新築祝いの場合は、贈る相手によって下記の相場になります。
贈る相手 | 金額相場 |
---|---|
身内・親戚 | 10,000円~20,000円 |
上司・目上の方 | 5,000円~10,000円 |
友人・知人 | 3,000円~10,000円 |
同僚 | 3,000 ~ 5,000円 |
この相場よりも低くても高くても問題ありませんが、この額内であれば「相手に気を使わせない一般的な額」とも言えるので相場内に収めるのが良いでしょう。
引越しのお祝いに「お返し」は必要?
引越し祝いを貰った側は、お祝いをくれた人へお返しするのが基本です。
新居でパーティーを開き、友人知人を招いて食事でもてなすことがお返しの基本ですが、遠方の方からお祝いを貰ったときや、自宅まで来れない人には「物」でお返しすることもあります。
「お返し」の額の目安は、「いただいたお祝いの半額」です。
親族や家族から高額なお祝いを貰った場合は、これに当てはめなくても問題ありません
まとめ
引越し祝いは、相場を目安にしながらも無理のない程度の額でお祝いすれば問題ありません。見栄を張って相場よりも高額なお祝いをしてしまうと、「それなりのお返しのをしないと申し訳ない…」とプレッシャーを与えてしまう可能性もあります。双方共に「一般的な相場」であることによって、無駄な気遣いをしなくて済むので相場を目安にしておけば間違いありません。
お祝いする気持ちは、金額の多さが気持ちの大きさではありません。気持ちが伝わるお祝いになるように心がけて贈り物を選んでいきましょう!
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